迎接寺

成田市冬父にある浄土宗の寺院｡
浄土宗千葉教区東総組に属する｡
本寺は大沢山虎渓院円通寺(栃木県益子町大沢)｡
無住寺で､代務寺院は透雲山宗円寺(東京都台東区寿)｡
伝統的に33年ごとに『鬼面判談法会(鬼舞)』が催されてきたが､昭和22年(1947年)に古老と民間劇団による協力で実施されたのを最後に途絶えた｡
寺伝によると､弘仁3年(812年)弘法大師が祈願のため法隆寺に数日籠もられた際､夢に高僧が紫雲に乗じて現われ､「聖徳太子の彫刻された三尊の仏を守護して東国に行き､迷える衆生を苦しみから救い､悟りの境地へと導きなさい」とのお告げがあった｡
弘法大師はただちに東国に降り､下総の並木城下にて城主神崎多五郎入道政吉と知り合う｡
政吉は大師の請いにより大檀主(開基檀越)となり､一三の霊水ある当山に根本多宝七堂伽藍を創建し､聖徳太子の彫刻された阿弥陀三尊を本尊とした｡
その後仁明天皇御勅願所となり､承和11年(844年)には織田公より200戸を賜わったという｡
長徳3年(997年)恵心僧都という僧が住し､顕密兼学の大道場として栄えた｡
ある日恵心僧都は突然悶絶し(急病による発作？)､命を落としかけるも蘇生したという｡
その際､死の淵で極楽浄土と地獄の両方を目の当たりにしたという｡
この極楽地獄の様子と､阿弥陀如来の衆生済度の姿を多くの人々に伝えようと､判談法会の御志願を発し､同4年2月より鬼仏十二の御面像を彫刻したという｡
この時観音菩薩様が来現し､金の蓮花を授けたという｡
この観世音御影向にちなんで､観音三三身の利益を表わし､33年に1度宛開帳することになった｡
これが檀林寺の鬼面判談法会(鬼舞)の由来だという｡
嘉暦2年(1327年)､一説に喜吉年中(1441年頃)観蓮社良譽喜上人の代に､天台･真言･浄土三宗兼学の道場となり､寺門益々隆盛して関八州･奥羽二州に知られ､関東夕陽高野山と称された｡
しかし永禄2年(1568年)6月7日兵火の為に廻縁･荘園･重宝等残らず焼失し､開基より756年の法燈と兼学の規則を失い､浄土の宗風のみ残り､寺門衰頽したという｡
佐原四十八ヶ所阿弥陀霊場第40番札所(廃寺が多く現在は霊場としての活動無し)｡