ほうぞうじ
静岡県島田市尾川321
法蔵寺は尾川地区西側の山あいにある曹洞宗の寺で、慶安元年(一六四八)の創建と伝えられています。安政五年(一八五八)におこった水害で裏山が崩れて法蔵寺は被害を受けました。明治十六年(一八八三)には観音..
法蔵寺は尾川地区西側の山あいにある曹洞宗の寺で、慶安元年(一六四八)の創建と伝えられています。安政五年(一八五八)におこった水害で裏山が崩れて法蔵寺は被害を受けました。明治十六年(一八八三)には観音堂が建立され、大正七年(一九一八)に法蔵寺本堂は再建されて現在に至っています。 観音堂の千手観音立像は、像高101センチ、イチイ材による寄木造で、眼は彫りくぼめて瞳を描き(彫眼)、頭髪や唇以外は素地のままで仕上げています。 頭と躰のバランスはよく、額を広く取り丸味のあるふくよかな顔には親しみがあります。天感がの正面はうねりを見せて左右の髪の一部が巻き付いており、鎌倉時代以降に流行した中国・宋代彫刻の影響をうかがうことができます。 下半身は左右対称の形ながらも裳は幾重にも折り返されて変化をみせています。 製作時期は十六世紀前半(室町時代後期)と考えられます。 仏像をイチイの木で製作した例は全国的にも少なく、また多くの千手観音像は、頭の頂にある仏面が、螺髪を刻んだ如来の顔で表されますが、本像では髪を左右にのばした女性の顔で表されており、たいへん珍しい作品です。 イチイの木を用いたことや寄木造ながら限を彫題とする点や素地仕上げであることから、もとは地域の人びとの結縁によって製作された千手観音立像とみられます。 法蔵寺千手観音立像は、昭和五十九年(一九八四)五月二十二日、市指定文化財に指定されました。 【島田市教育委員会】
曹洞宗
1648年
制限無し
無料
約10分
有り(2〜3台分)